チベット密教の荘厳な世界を描くタンカの伝統技法、カルマ・ガディ派を受け継ぐタンカ絵師西 洋児の描いた作品を、高精細・高品質で再現した複製画の販売をしています。
日本においても広く信仰をされる尊格の一つに”阿弥陀如来”がありますが、”無量光仏”とも呼ばれるその姿が僧衣を身に付けた姿で描かれるのと対照に、本タンカに描かれた阿弥陀如来のロン・ク(報身)、長寿の尊格”無量寿仏”は装身具を身に付けた姿で描かれ、禅定印を結んだ両手には不死の甘露(アムリタ)で満たされた壺を持ちます。
本作品は、キャンバス全体を朱色で塗った「マル・タン」と呼ばれるチベットの伝統的な手法で制作されたタンカの高精細複製画で、中央には極彩色に描かれた無量寿菩薩が、そしてその周りには、純金泥の線描で細かく描かれた小さいサイズの無量寿菩薩が中央の主尊を取り囲むように整然と描かれています。タンカにおいてしばしば見られるこのような画面構成は、それにより尊格の功徳が増すことを願うと同時に、尊格が衆生を救う際の方法や顕現が無限であることを象徴しています。
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伝統的なタンカの制作には非常に多大な時間を要します。
深い意味を含んだ尊格の様々に異なる複雑な様相、それを美しく飾る細密な装飾デザイン、そして無数の微細な線や点によって陰影を表現する滑らかなグラデーション。
タンカ絵師は、こういった手間のかかる緻密な作業を手早くこなしていく法を長年の経験の中から会得しますが、やはり細かく描写すればそれだけより多くの時間を費やさざるを得ません。多大な制作時間をかけることだけがタンカの品質を確実にするものではなく、時間をかけたものが良いタンカではないのですが、良いタンカを制作するには必然時間がかかるということはできるでしょう。
当サイトで複製画を販売している元となる原画の多くは、細部にわたる完璧さが全体の完成を生み出すという信念のもとに、数百時間から数千時間をかけて制作されたものです。
そのために、印刷には細部の描写を失うことのないよう滑らかで、タンカと同じようなマットな仕上げの厚手のアーカイブコットン紙を使用し、幾度も色校正を重ねて、鉱物や植物など自然界から得られる美しい色を用いて彩色されたタンカの輝きや細部の描写を余すことなく、できる限り原画に近く再現するために最善を尽くしました。
私たちの制作するタンカの複製が、仏教修行者の毎日の観想の役に立つこと、また見る人の興味を呼び覚まし、このチベット仏教の神聖な芸術を通して仏教との良縁を結ぶ一助になり得ることを願っています。