チベット密教の荘厳な世界を描くタンカの伝統技法、カルマ・ガディ派を受け継ぐタンカ絵師西 洋児の描いた作品を、高精細・高品質で再現した複製画の販売をしています。
この本は、タンカのワークショップのためのテキストとしてタンカの伝統的な技法を紹介するための初心者向けのマニュアル本として出版されたものです。
本のタイトルが示すように、本書は伝統的なチベットの仏画”タンカ”に描かれる『花』の描き方を説明したもので、本書前半ではタンカに描かれる蓮の花を一例として、三つの異なる暈しで彩る手順を掲載しています。また各ステップの説明には文章を用いず、すべてアイコンで端的に示されています。(※各アイコンの説明は添付の用紙をご参照ください)
後半にはカルマガディ派の様々な花の白描画を76点を収録。
サイズ A5 全75ページ(フルカラー 4 ページ)
伝統的なタンカの制作には非常に多大な時間を要します。
深い意味を含んだ尊格の様々に異なる複雑な様相、それを美しく飾る細密な装飾デザイン、そして無数の微細な線や点によって陰影を表現する滑らかなグラデーション。
タンカ絵師は、こういった手間のかかる緻密な作業を手早くこなしていく法を長年の経験の中から会得しますが、やはり細かく描写すればそれだけより多くの時間を費やさざるを得ません。多大な制作時間をかけることだけがタンカの品質を確実にするものではなく、時間をかけたものが良いタンカではないのですが、良いタンカを制作するには必然時間がかかるということはできるでしょう。
当サイトで複製画を販売している元となる原画の多くは、細部にわたる完璧さが全体の完成を生み出すという信念のもとに、数百時間から数千時間をかけて制作されたものです。
そのために、印刷には細部の描写を失うことのないよう滑らかで、タンカと同じようなマットな仕上げの厚手のアーカイブコットン紙を使用し、幾度も色校正を重ねて、鉱物や植物など自然界から得られる美しい色を用いて彩色されたタンカの輝きや細部の描写を余すことなく、できる限り原画に近く再現するために最善を尽くしました。
私たちの制作するタンカの複製が、仏教修行者の毎日の観想の役に立つこと、また見る人の興味を呼び覚まし、このチベット仏教の神聖な芸術を通して仏教との良縁を結ぶ一助になり得ることを願っています。